若林君、見える?

手を伸ばしてみて。
何が掴める?

未来?
それとも
現在?

若林君が掴んだ僕の手が
明日にはもう過去になって
僕と過ごした日々も
きっと若林君の
思い出になるよ。


出来れば、
ホントは、
ずっと一緒に居たかったんだ。

若林の隣で
泣いて、笑ってても
全部許される気がしたから。

僕の辛い事、
若林君の辛い事、

僕の楽しい事、
若林君の楽しい事、

本当に共有していた気がするから。


この人ともう二度と会えないって
そう思いながら話すのって
なんか不思議な気がする。

今は現実なのに、
未来になったら過去になるのを
現在の僕が知ってるのって
・・・不思議。

だけど時間が僕を追ってくるよ。

まるでスローモーションみたいに
僕の中に沢山、沢山刻まれて行くのに


若林君が伸ばした手は
ちゃんと未来を掴んでる?


空に向かって伸ばした手に
きっと輝く未来があるよ。


若林君が望んだ未来が
ちょっと形を変えていても
自分が掴もうとしているのなら
きっと若林君の側に
思い描く未来があるはず。




僕はちょっと道草して
自分の未来を考えるから。

だからどうぞ、
若林君はそのまま進んで行ってね。



世界は優しく僕を包んでいて
満天の夜空の下、
何でも夢が叶う気がするのに
太陽が現実を教えてくれて
僕の踏み出す一歩は
本当に小さくて
この大きな世界中で
たったちっぽけな存在が
何処までも上に昇って行って

若林君と一緒に居られたら
僕はそれだけで幸せなのに

そんな夢はやっぱり
届かなかったね。


若林君の笑い声、
若林君の笑顔、
今でも大切に胸の中にあって
あんなに近くに居たのにと
思い出す日も多いけど

僕の中にきっとずっと生きていて
いつまでも繰りかえし再生されて
止まる事を知らないビデオみたいに

繰り返し繰りかえし
同じシーンが蘇って
思い出すたびに  きっと
胸が熱くなって涙が出るよ。


だけどそれはもう二度と
若林君に触れることの無い

現実なんだから。



笑いあって
ふざけあって

ちょっとでも触れてたくて
その声が聞きたくて

僕の中の心の金庫に
一つ一つが落ちてくるよ。

今まで若林君に包まれて
僕は僕という人間のまま、
この世の中で生きてこられて

若林君と言う人間を
側でそっと見守っていたけど
どんなに感動する映画でも
ソコに終わりが有るように

僕等の関係にもカーテンがおりて

僕の手の中から
砂がサラサラと零れ落ちる。

どんなに醒めない夢だと知っても

繰り返し繰り返し
若林君の笑顔が
きっと


僕の胸に降りてくるから・・・





二人で街で遊んで
ご飯食べて、また
夜がやってきた。

もう、時間を止めてとか思わない。

返って早く過ぎればいいのに、って思った。


そうしたら僕は
思い出の若林君と居られるのに。

今の僕には現実が重過ぎて
どうせもう会えないなら
早く思い出になった方が
きっと・・・きっと悲しくないはずで・・


若林君との最後の夜、
僕は彼の下で息づいた。

明日になったら・・・

朝はいつでもやってきて
僕に色んな事を運んでくる。


僕の耳にこだまする。

『岬、ミサキ・・・』

若林君が僕を呼ぶ声。



何も知らないのに、
色んな事が進んでてごめんね。

でも、僕は

若林君に幸せになって欲しいんだ。
僕と知り合って寄り道してた事、
恥じて欲しくは無いけれど
でも決してそれが正道と思わないで欲しいんだ。

若林君が自分の思う道を進んで
夢を現実にして
家族みんなで仲良くして
たとえどんなに離れてても
若林君がパパになっても
なにか道を外れてしまっても


僕だけはずっと側にいるから・・・

今の僕にはそれしか出来ないけど

若林君のこれから輝く未来を

応援することだけは出来るから・・・



だから時折、うん、
ホンの時折、思い出して欲しい。


僕らは友達から
恋人になってしまった。
だからこそお互いの深いところも
お互いの欠点も

自分の半身みたいに思ってて
いつでも心配して
いつでも自分の片隅にあって
相手が痛がれば僕も痛くて
相手が悲しければ僕の胸も痛んで

若林君と知り合って
僕は岬太郎って人間になれたのに
僕が若林君の足を引っ張っちゃってた?


羽が傷付いた小鳥は飛べなくなって

僕にも昔羽が生えてて
自由に空を飛べたのに

今では片方、もぎ取られていて
傷ついた背中から
僕の心から

涙とか
感情とかって

悲しい色をした血が流れ落ちるよ。



この満天の空の下
僕が若林君に願う事。







僕は・・・






『幸せになってね』






寝顔にそっと呟いた。


















明日は、最後の日だね・・・

                  
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