目を閉じて

今、ホラそこに感じる

僕が若林君の側に居て

その体温を感じてる事



明日には無くなってしまう

この大切な時間を

僕はどう扱っていいのか

分らないで居て


ただ悲しんでいいのか

ただその寝顔を見ている

微笑んでいいのか




一つ扉を押したら

きっと涙がこぼれるのに

その横顔に手を触れるだけで



心の奥底で

この時間が早く終わらないかと

この時間が永遠に続かないかと

僕は願うのに


時間だけは

やけにゆっくり流れて行って

震える手の先も

自然に落ちる涙も



只僕がここに生きている証で

手を伸ばせばホラ

直ぐそこに君が居るのに



大好きで大好きで

君が息をしてるのが奇跡のよう


僕の目の前から

明日には居なくなってしまうのに


この小さな宇宙の中で

只この時だけは


僕と君の2人だけの時間



色んな思い出が有ったね




君に会いたくて
会いたくて


過ぎ去り行く日々の中

僕の心の片隅に

ずっと 待っててくれたけど


僕が答えを出す前に

君とは離れなきゃいけなくなって


こうして寝顔を見てるよ



手を伸ばせば

ホラ すぐそこにあるのに

現実は直ぐに過去になって

僕の胸に降りてくるよ


もう二度と

開けない現実のページ



君と僕が生きた証を

その胸にどうぞ刻んでいてね

君と僕が笑い合った軌跡を

どうぞその胸に覚えていてね


絡めあった指先が

どんな結末になろうとも

離れることの無い現実と

信じていたあの頃は

どんなに幸せだったかと

思い出すたび

胸が熱くなって行くけど

僕が君を好きだった様に

君の思い出の中で

僕を好きだった事

現実として

覚えていて欲しいんだ



目を閉じて涙がこぼれた
受け止める手が冷たい



このまま朝がこなければ

君と僕は離れなくてすむのに


君が起きない眠りについても

僕はずっとそのまま

側に居れるのに




目を閉じて

冷たくなった君を考える


僕の涙が君を起こす事が出来るだろうか


冷たくなった僕を

君が呼び覚ます事が出来るだろうか




泣かないで



僕の心が流す涙が

届かない優しい思いに

二度と届かない想いを

確かに伝えて行くはずだから






そっとその頬に触れた。




『若林君・・・』



もう一度

涙が頬を流れ降りても

僕は言わなくてはいけない



だって


それは


僕が決めた事だから




『・・・さようなら』





僕の小さな呟きは

遠くで輝く星の様に

辺りの闇に吸い込まれて

おぼろげな光を放つ



『さようなら』



その言葉の

意味さえ解らずに

ただ流れ行く

かけがえの無い

僕の大切なものが

誰の心も射止めずに

この世の中に散って

僕に現実を突きつけた


『・・・さよ・・なら・・・』











大切なものが

目の前から消えていく





空港のロビーで

若林君に向かって放った言葉は


『もう2度と会わないから』







僕の心は後ろを向いて

聞かない振りをしていた、

ただ

言わなくちゃいけない一言に

僕の心の全てを込めて






本当は言いたくないのに

僕が言わなくちゃ

彼が幸せになれないよ



彼が幸せになる為に

僕が出来ること



それは僕が

彼にサヨナラを言って

彼を自由にしてあげる事






一瞬、彼の顔が驚きに歪む





空港の屋上

彼の飛行機が飛び立つまで

飛び去ってもいつまでも


僕の指は金網を掴んで

やり場の無い涙を流す





若林君の未来は開けるのかな

若林君のお父さんは喜んでくれるのかな






僕の存在価値は何処にあるのかな





僕の中で流れていた時間が

今日で





止まった。






 































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