SWEET ON YOU






『岬、ごめんな・・・』

とっても低姿勢な若林君からの電話。

『いいよ』

僕だって怒っていいのか
悲しんでいいのか

よく、分らないから・・・

『明日中には必ず行くから』

『うん。でも、無理しなくていいからね』

『・・・・・』


本当に、本当に本心だったのに・・・
だって、無理して欲しくなかったんだもん




『明日、着いたら連絡するから』





そう言って若林君の電話が切れた。




あ〜あ・・・

明日は僕の誕生日で
若林君が朝から来てくれる
ハズだったけど
急な用事で来れなくなったって、
夜遅く来るからって連絡なのに



『(よく、わからないや・・・)』



お誕生日の言葉も
さっきの電話で貰ったし、
若林君がずっと一日一緒に居れなくなったのは
本当に仕方の無い事だと思うのに・・・


『(よく、わかんないや)』


五月の雨が窓を叩く。


『(今日はもう寝よう)』


部屋の明かりを落として
暖かい布団を肌に感じる。


『(一人の誕生日なんて・・・





 慣れっこのはずなのに・・・・・)』














小鳥が朝日を運んできた。
眩しいオレンジが僕の目を射抜く。


昨日の雨が何処かに行って
今朝は静かな、静かな
僕の誕生日。


いつのお休みと同じく
トーストを焼いて、
ミルクをついで
新聞を取りに行く。

『(いつもと同じなのに・・・





 なんか、寂しい)』






差し込む日差しを浴びながら、
ソファの上でコロンと転がる。
壁に据え付けたテレビが
変わらない日常を映し出して
今日が特別だとか、
今日が誕生日だとか、






『(いつもと同じなのに


 なんか、ちょっと違う・・・)』






音の羅列が僕の胸をくすぐって行く。






『(誕生日だけどいつもと同じハズだから)』






読もうと思ってた新聞も
見ようと思っていたテレビも




なんとなく横をかすめて行って
閉じた瞼に若林君が浮かぶ。


『(ホントは





 今すぐ会いたいよ・・・)』









カタン







ドアに据え付けられた
郵便受けが微かに呟く。


『(何?)』




ソファーから起き上がって
恐る恐る郵便受けに手を入れた。


真っ白で、四角い封筒。
封筒?




ちょっと躊躇いがちに
郵便物の端から開く。





タンジョウビ オメデトウ
キョウ ヨル イツモノ トコロデ





『・・・なにコレ・・・』


たった2行に僕の心はやられてしまった。


『そんなに気にしなくていいのに』


おかしくなって郵便物に顔を埋める。




ギュッと切くなった胸を
チラと熱くなった目頭を

若林君の優しい笑顔が通り過ぎる。



『ホンっとに・・・
   



 もう・・・・・』






読もうと思ってた新聞を畳んで
見ようと思ってたテレビのスイッチを消す。




『(キョウ、アッタラ ナニシテ アゲヨウ)』





僕の誕生日のはずなのに
僕の胸は若林君で一杯になって






シアワセ 





って文字が
僕の周りを包んで行った。






























































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