You are My …









朝起きて一番に窓の外を見た。




木陰からチラチラと陽光が舞う。


風の余り強く無い日で
木陰の間から切り取ったような青空が
木陰を縁取りながら白い雲と紛れていく。


『あんまり天気、よくないな』




俺の呟きが木漏れ日の隙間から漏れる。





『原さん、今日は良い天気じゃないか』




シューズの紐を結びながらカルツが呟く。

『うん…そうなんだけど     サ』



俺は大儀そうに身体を起こした。



『俺の晴天はまだなんだ』










練習の間も良く空を見上げる。














またも木立から切り取った青空が




俺をあざ笑うかの様に輝く。



















『(もっと晴れたらいいのに)』























『なんだよ、今日は元気無いな?』


シュナイダーがドリンクを差し出した。
受け取って飲もうとした瞬間に
カルツが軽い笑い声を上げる。



『源さん、今日は曇り空なんだとさ』

『別に・・・』






そんな言葉を無視して
またも木立の隙間を覗いて見る。



『今日が終わったら連休だよ?』




シュナイダーが心配そうに俺を覗き込んだ。




『ああ』



木立の隙間に移る空が
少しづつ、オレンジ色に変化する。










俺が待ってるモノ。




この木立の隙間から見える、
その光り輝く衛星の光り。

この青が深く染まったら…






この空が優しく 黒く変化したら…

















俺の中もちゃんと晴れるのに。
















練習後に寄ったカフェで
泡立つコーヒーを飲みながら
俺の目線は地平線に漂って行く。


『今日、おかしいぞ?』



皆に心配されつつも、
















俺の心は闇に閉ざされた。






















空港の片隅で
俺は静かに時間の波に立つ。


辺りは柔らかに、
人の動きを持って
俺に期待を運んで来る。




ざわめきが
俺の思考を砕いて行った。





赤ら顔の大男に混じって
その小さな茶色の髪が
ヒョコ ヒョコッ と揺れ動く。



『岬 …』







岬の瞳が俺を捉える。



『若林くん!!!』










『ごめんね、一番遅い飛行機…』


言いかけた言葉ごと
俺の胸に抱きとめた。














『会いたかった』



今日一日
待って待って 待ちつくした
俺の一言。



腕の中の岬が
ちょっと離れて俺を見上げた。




『僕も … 会いたかった』














岬が投げかけた
その眩しいくらいの笑顔。













やっと


やっと俺の心にも















明るく輝く
優しい陽光が振り注いだ。
























窓の外から見える、
木立の隙間の晴天。




ソレは黒く青く、
優しく深く、




その中央には













光り輝く
一つの星が見えた。































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