雨降りは嫌い・・・

GWへと続く金曜日、その日の朝は雨だった。
僕は窓に身を寄せて、降りしきる雨を静かに眺める。
3日間のGW・・・
みんなは帰るみたいだけど
僕はココに居るしかないんだもの。

憂鬱だから、せめて雨はやんで欲しい・・・

先輩が着替えて僕を振り向いた。
『岬、チコクするぞ』

『あ・・はい・・』


先輩がドアを開けて僕を待つ。
恋人同士になってから1ヶ月。

『(先輩だって帰るよね・・・)』


春休みも僕が居るからって
たったの数日で学校に戻ってくれたし。

『また、後でな』


僕等の部屋にカギをかけて
先輩の後姿を眺める。

『さみしいな・・・』






教室に行くといつもと違う熱気が渦めく。
『よう、岬、コレ見ろよ!』

クラスメイトが投げ出した雑誌・・・

『何?コレ?』

ソコにはあられもない姿の女性が
裸の男性と交わって、気持ちよさげな
恍惚の表情を浮かべてる。

『わっ!!!』

思わず雑誌、投げ出しちゃった・・・

『ホラ、岬はそんなのわかんねえって!』
数人のクラスメイトが僕を囲んで笑う。
『お前、まだ女知らねえのかよ』
『こんなんでビビるなよ〜』

だって・・だって僕、
そんなの見たの初めてで・・・

『お前彼女とかいないの?』
『引越しした先々に彼女がいたりして!』

『そんなの居ないよ!』

真っ赤になって反論する僕を数人が小突く。

『お!岬!真っ赤になって純情じゃん!』
『もう!!!』

『岬は帰んねえの?』
『あ、うん・・・』

誰かがそいつを小突いた。
『・・ごめん・・・』

そっか・・・
僕っていつも皆に
気を使ってもらってるんだ・・・

『ううん!別に!皆は今日帰るの?』
『ああ・・そうだ、お詫びにコレ、やるよ』

さっきの雑誌を差し出す。

『要らないよ!!!』
『お前もちっとは女の勉強しろよ、な!』

親切?おせっかい?
クラスメイトに押し付けられた雑誌を
必死に返そうとしてる所に先生が入って来た。

『HR始めるぞ!』

慌てて机に雑誌を放り込む。

ドキドキして心臓が止まりそう・・・

僕の机の中にイケナイ物が入ってるなんて
う〜っ!!!どうしたらいいんだろ???



あいにくその後教室移動とかで
結局雑誌、返しそびれちゃった・・・

『じゃな、岬!』

一日の授業の後、みんな足早に教室を去って行く。
そのまま、皆は家に帰るから。

翼君も例外では無い。

『岬君、寮まで一緒に行こう』
『うん』

教科書をカバンに入れながら
雑誌をどうしようかと悩む。

ま、ココにあって誰かに見られたら
イヤだもんね・・・

僕は雑誌もカバンに詰め込んだ。



今日はサッカーの部活も無し。
寮に残る数人で早めの夕食を取ってから
一人で部屋に戻る。




先輩、結局会えなかった。
これから3日間、つまんないなぁ・・・

カバンから例の雑誌を取り出した。
『(こんなの、どうしよう・・・)』
ちょっとだけ好奇心に負けて
パラパラとページをめくる・・・

『うわ〜!!!』

そりゃあ僕だって知識としては
知ってるけど、こんな・・こんな・・・

パタン!と雑誌を閉じて慌てて手近な
ビニール袋に押し込む。

『(怖いよ・・・)』

他のゴミとまぜてから
1階の集合ゴミ捨て場に捨てた。

談話室も今日は暗い。
数人寮にいるって知ってるけど、
なんか誰も居ないみたいに
妙に静まり返ってる。

『(先輩、帰る前に会いたかったな)』

ソファに座らせてもらって
サッカーの雑誌を手に取る。

『(さっきの、凄かったな・・)』
捨てた雑誌のイメージが心に蘇った。

僕と先輩もお互いに好きと言ってから
何度も抱き合ったりKISSしたりしたけど
でもそれ以上は何も無し。
だって、SEXって女の人とするもんだよね。
僕達、2人とも男だもん。
でも、何かこう、胸にモヤモヤ湧き上がる。

『(もっと先輩と触れ合いたい・・・)』

もっと、何かこう、
もっと先輩とずっとくっついて

(さっきの雑誌みたいに?)

『くっついて・・どうするんだろ?』

ダメダメダメー!!!


ドキドキして体が熱くなる。
なんか・・・変・・・


立ち上がってウロウロして
コロンとベットに横になった時、
かすかな音が聞こえて来た。

ポタ・・・

『(今の音、何?)』

空耳かな、と思った瞬間

ポタ・・・

かすかな、かすかな水滴の音。

アレ?今、雨も小降りなのに・・・

水道を閉め忘れたかな?
と思った瞬間、僕の目の前で
キラリと何かが光った。

『わ!!!大変!!!』


窓側にくっついてる先輩のベットに
天井から水が漏ってて
布団からマットから結構びっしょり濡れている。

『どうしよう・・・』


大パニックの末、とにかく
布団とマットを取り除いて
水滴の下にバケツを置いた。

マットは壁に立てかけて、
羽布団は乾かす事に。
シーツやらタオルケットやらは
一応洗濯機に放り込んだ。

『ビックリ・・・』

今日から学園の職員も極端に居ないし、
ましてや天井の修理なんて

『きっとGW明けだよね』

ピチョン・・・

規則正しく落ちる水滴の音。
降りしきる雨の音。
ときおりざわめく木々が
風の通り道を僕に教えてくれる。

『つまんないな・・・』


ちょっぴり眠たいけど
洗濯物、乾燥機に入れなきゃ・・・

自分のベットでウトウトしかけた時、
部屋のドアが勢い良く開いた。

『ただいま』



『え・・・?』


驚く僕を尻目に先輩が嬉しそうに
ビニール袋を抱え上げる。

『食料と酒もらって来たぜ・・・って・・』

自分のベットの有様を見て
ビックリした表情を浮かべる。

『雨漏り?』
『そう・・みたいなんです・・・』

怒るかな、と思ったけど
意外にも先輩は楽しそうな顔をした。

『ま、いっか、ごめんな』

マットとかの処理について謝ってから
嬉しそうに僕の手を引いてソファに連れて行く。

『ビールとワインとチーズ!』

先輩が目の前に戦利品を並べていく。
どうやら同級生のお友達と外で飲んだみたい。

『先輩、酔ってる?』

『いや・・・』

嘘。
心なしかいつもより上機嫌で
口数も多い気がするよ。

『岬、ビール飲めるか?』
『僕、お酒とかあんまり・・・』

『飲める?飲めない?』
『・・・飲んだ事が無いです・・・』

ポソっと呟いた僕の頭を軽く撫でて
ワインの栓をポン抜いてから
冷蔵庫に歩み寄る。

『なら、氷入れてやるよ』

大き目のグラスになみなみと赤ワインを注いで
これまた大き目の氷を入れてくれた。

『これなら飲みやすいハズだから』
『あ・・有難う御座います・・・』

部屋の明かりを落として
先輩が持ってきた洋画を見ながら
僕等の小さな宴会が続く。

『ホラ、岬、今の見たか?』

いつになく楽しそうな先輩を見ていて
僕の心も楽しくなって来た。

赤ワインのせい?
ちょっと頭がクラクラするよ。

なんだかぼやけがちな視界の中で
先輩の楽しげな横顔を眺める。

『(もうちょっとくっついてもいいかな?)』

お酒のせい?
なんだか僕もちょっと大胆になって
隣に座る先輩に頭を持たせかけた。

『みさ・・・』

僕・・絶対顔が赤いはず。
だって物凄くほっぺたが熱いもん・・・
顔を見られたくなくてギュッと先輩の服を掴んだ。

『大丈夫か?』

先輩の大きな手が僕の肩を掴む。

『うん・・・』

なんだかとっても幸せで
そのまま目を閉じた。

『岬・・・』

先輩の手が僕のアゴをなぞる。
ちょっと体が震えた。
(さっきの雑誌。。。)

ゆっくりアゴが持ち上げられて
先輩の唇が僕に触れる。





   
『ベット寝れないから、先輩、一緒に寝よ』

僕の顔を両手で掴んで
優しく肩まで撫で下ろす。

『岬、お前、分ってんのか?』

先輩がマジマジと僕を見つめる。

『何?』

だって先輩のベット、水浸しだよ。

マジマジと僕の顔を穴の開くほど見つめてから
先輩がプッと噴出した。

『オレ、ソファで寝るからお前もう寝ろ』

優しく頭を撫でてくれる。
『もう、眠そうだよ』

ヤダ、もっとくっついていたいよ・・・









くっついていたいのに・・・
くっついたのは、僕の瞼だったみたい・・・



そんな連休の第一日目






健全に終わらせようとしたけど
結構萌えっぽい話になっちゃったので
裏に続きが書いてあります 笑

ご興味ある方は
覗いて見て下さいね〜★
あ、でも大した事は無いです!!!!



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